売上げUP・シェア拡大をしたい
クノール・カップスープがヒットした理由
From:海東和貴
自宅の書斎より
クノール・カップスープの話を書きます。
この一文だけで「あ、あのことか!」と
思い至った人がいたとしたら、
それはかなりアンテナ感度の高い人とお察しします。
そう「その」話です。
そしてその話プラスアルファのことを書きます。
2007年、クノール・カップスープは
「北海道の契約農家のとうもろこしを厳選して使っています」
という宣伝文句を使っていました。
品質へのこだわりをみせれば
売れ続けるだろうと考えていたためです。
ところが売上が伸び悩みました。
そこで彼らはリサーチをしたのです。
その結果、消費者の実態は、
* * *
1. 圧倒的に朝食で使われている。
2. 朝食に「クノールカップスープ」を
飲んでいる人の70%以上がパン食。
一方で、朝食がパン食の人で、
スープを飲んでいる人は10%強しかいない。
3. 圧倒的にパンとの相性がいいのに、
そのことが充分にアピールできていない。
4. つまり、スープのユーザーはパンにつながっているが、
パンのユーザーはスープにつながっていない。
つまり、”片思い”が続いている。
* * *
引用:山田まさるさん著
『スープを売りたければ、パンを売れ』より
ということがわかりました。
ここから更にリサーチを深め、
「つけパン」「ひたパン」のキャンペーンが生まれ、
売上が伸びたというものです。
ここから、少し切り口を変えて書きます。
このキャンペーンは作者が言うところの
「ずらし」のテクニックです。
詳細は書籍に譲りますが、
これは考え方のワークフレームです。
実際「ずらし」でなくても、この方法を考えることができます。
(もちろん、「ずらし」は
ワークフレームとしては秀逸です。
違ったワークフレームもあるよ、
という意味合いで書き進めます。)
私の仲間が、飲食店を経営しています。
数店舗を所有しているので、食材の仕入れも多くなります。
そうすると仕入れ業者は
新しい食材を紹介しにくるんですね。
そのとき、もちろん産地の良さもアピールするわけですが
「じゃあ、実際に料理したらどんなものができるのか」
ということまでプレゼンするんです。
これはまさに「つけパン」と同じ発想ですよね。
要はこれは、FAB(Feature/Advantage/Benefit)の
「Benefit」です。
以前の私の記事にもありますので、良かったら探してみてください。
ジャパネットたかたの社長、高田明さん。
彼は大型高画質テレビを売る際に
画素数やインチ数など「そのクオリティー」に関しては
ほとんど触れませんでした。
それよりもベネフィットである
「大画面だから迫力がある。みていて心が躍る。
だから家族がリビングに集まる。
個々の部屋にあった小さなテレビでみるより
リビングでみた方が楽しい。
昭和のあの頃のように家族で一緒に
テレビをみられる幸せを、
このテレビから得られるのです。」
という切り口でプレゼンテーションしたんですね。
お察しの通り、テレビは「バカ売れ」しました。
あなたの会社のサービスや商品が、
実際に使用する人の手に渡ったときに、
一体彼らの人生に何が起こるのか。
どんな体験が待ち受けているのか。
それをリサーチし、テストする労力を、
ぜひ厭わないでほしいと思っています。
あなたが売っているものは、きっと人のためになり、
世界のためになるでしょう。
体験した人は幸せになるはずです。
ただ、相手にはそれが「未知の世界」で
全くイメージが及ばないということが多々あります。
「質が悪い」とは思っておらず、
むしろ「うちのような環境に導入して良いものなのか、
もっと上のステージの人が頼むものではないのか」
と思っている場合だってあるのです。
本当は「どんぴしゃ」のマーケットであるにも関わらず、です。
多くの場合、顧客と自社の間には、
深く、流れの速い河が横たわっています。
業種によって距離感はまちまちですが、
実際「自分の業界以外のこと」について、
人はそんなに詳しくありません。
対岸のことはよくわからないのです。
サービスを提供する側、つまりあなたは、
その河に橋をかけ、船を渡す必要があります。
そのためには対岸の人がどんな生活をしているのか、
どんなことを望んでいるのか、
こちらの岸にどんな思いを持っているのか、
それを調査し、形にして、顧客に届ける必要があるのです。
時に作業の手を止めて、顧客の日常に思いを馳せてみてください。
何かヒントが出てくるはずです。
今日もお読みいただき、ありがとうございます。
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