彼は、綺麗すぎる世界から訪れた。 – 2学期のとある定例運営委員会 PTA会長挨拶

detail

2015年9月7日
PTA 定例運営員会にて

いつもPTA活動にご尽力をいただき、ありがとうございます。2学期が始まりました。これから、地域との連携をますます緊密に取る時期に入ります。多方面に渡りご尽力いただく機会が増えるかと思います。よろしくお願いいたします。

さて、藤子・F・不二雄さんと言えば『ドラえもん』が有名です。あの作品は、子どもに夢を与えたり、大人には「間」の面白さで大爆笑させたりと、老若男女が楽しめる素晴らしい漫画です。そんな藤子・F・不二雄さん。『ドラえもん』以外にも多くの作品を世に出しています。短編モノの漫画などはもうかなり秀逸で何度読んでも飽きないのですが、今日は『懐古の客』という作品を取り上げてみます。「グッドオールドデイズ1週間」というパック旅行で、未来から訪れた観光客。オンボロのアパートの見た目に大喜びする彼。本物の畳の上に立って大喜びする彼。合成ではない、本物の肉や野菜に感動する彼。夜は布団で眠れることに感動し、白熱電球に感動し、蚊が飛んでいることに感動し。そして翌日、ぶっ倒れます。

医者の診断は、「食中毒、虫さされ、おたふく、風邪の合併症で、極端に症状が重い状態。雑菌等に対する抵抗力が皆無」なんだそうです。これ、私の中で「うーん」と思うところがありました。今の時代の延長には、まず間違いなく「そういう時代」が来ると思っていたから。

汚いものを徹底的に排除する風潮。食肉だって知らないところで加工されて、子どもたちの前にはパックされた「食材としての肉」があるだけ。手を洗ったあと洗浄力の強い石鹸を使っているにも拘わらず、そのあとはアルコール消毒。テーブルを拭くにも水拭きだけではなく、洗剤やアルコールスプレー。水は濾過されたものを、更に家庭で浄水したり、山から取水した水を取り寄せたり(これに関しては、今はセンシティブな問題を孕んでいるわけですが。)軽い風邪でも病院に行って薬をもらったり。(それぞれの価値観を個別に否定する意図は一切ないです。)

人間自らの持つ浄化力や治癒力、免疫などを衰えさせている流れに感じるときがあります。これ、目に見える事柄だけではなくて、「目に見えない」心の部分にまでも及んでいます。例えば、童話。子どもに聞かせる「おはなし」がどんどん「綺麗」になっている。さるかに合戦って、昔は猿が死んじゃってましたよね?今は、死にません。その後、仲直りするか、若しくは遠くへ逃げていったことになっていることが多いようです。

ラプンツェル。オリジナルのグリム童話では、王子がかなりひどい目にあっていますが、ディズニーに映画化された際にそういう部分はなくなりました。(でも、このディズニー映画は名作だったと思ってます。)その他、子どもに聞かせる物語がどんどん「まろやか」になっているように感じます。でも本当は。物語として「ちょっと怖いもの」だったり「ちょっと残酷なもの」だったり、そういうものを聞かせることで子どもは道徳心や感受性などを育んでいくのではないかなあ、と思います。

「自分の範疇でないもの」を感じさせることによって、「自分の輪郭」を感じ取る作業ができるわけですし。その「範疇でないもの」に対する耐性を予めつけさせておくことで、そういったものを目の当たりにした際に極端な反応をせず、適切に対処できるようになっていく。強い子どもを育むって、そういう要素の積み重ねだろうなあ、と感じています。

冒頭の『懐古の客』。重い症状で入院し、何とか一命を取り留めたものの。添乗員との集合に間に合わず、未来に帰れなくなってしまいます。「帰るあてもなく金もなく」「私はこれからどうやって生きていけばいいのだろうか・・・・・」この台詞で物語は終わりです。

綺麗過ぎる世界と、そうでない世界。個人、家庭、学校、地域、国、世界で、常にモニタリングしながらより良い世界に繋げられたら、と思っています。ありがちな表現ですが、子どもは世界の宝ですから。

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

この投稿の趣旨

10,000時間の法則、というものがあります。

ある分野でスキルを磨いて一流として成功するには、10,000時間以上の練習・努力・学習が必要というものです。世の中には、この法則について「十分条件」と「必要条件」がごっちゃになって語られている場面もあります。ただ、まぁ、堅いことを抜きにすれば、10,000時間もの時間を投資して何かをやってきたことは、自分自身の「自信」にしても良いもの、と思います。

私は「子育て」に関しては、優に10,000時間を超える試行錯誤をしていますが、その中の2,000時間ほどは、PTA会長として過ごした時間が含まれます。子どもたちの通う小学校で3年間、(東京23区の、とある)区全体の連合会長として1年間、活動をさせてもらいました。

歴史が長く、あまりにシステマティックに組織運営がされていたため、運営そのものはママさんたちにお任せして、私は私ができることをしよう。そう思って就任半年後、2学期から、少しずつメッセージを発するようになりました。

そのスピーチ録を、フリー素材として公開しようと思います(著作権は放棄していません)。そもそもは、親や先生に私の考え方や価値観をリーチさせ、そこから「かっこいい背中の大人」を更に増やすことができれば、私がビジネスを通じて実現したいこととも通じるな、と思って始めたことです。かっこいい背中の大人が増えれば、子どもたちは、未来や自分自身に対して、更に強い希望を持つことができます。そういう子どもが増えれば、世界はもっと、魅力的なものになります。

世の、仕事がありながらもPTA活動等、子どもたちの過ごす環境の改善に努めてくださっている方のお役に立てれば、と思います。役割上、スピーチや、意見表明、書面への寄稿をするシーンも多々あるかと思います。時に、それらを創作する時間がないときには、文章をこのまま使っていただいても構いません。その際、特にクレジット表記等も要りません。笑

読者アンケート
detail
prf_adminをフォローする
blog.prf.tokyo

コメント

タイトルとURLをコピーしました