会場はざわつきました。
丸の内に位置するセミナー会場。
聴き手と話し手の程よい熱気に包まれ、
暖房が少し暑すぎるようにも感じるその部屋。
講師である私から投げかけられた、
とある質問に対して、席からざわめきが起きました。
「今、あなたのサービスの価格を10倍にするとしたら
どんな付加価値をつけることができますか?」
この質問をした意図は今回の主題とずれるので触れませんが、
この記事を読んでくれているのあなたに
考えてほしいことがあります。
* * *
ここ数回に渡って、
価格戦略について記事を書きました。
価格戦略の目的は、ひとつ。
○○を□□すること。
○○には「利益」が。
□□には「確定」が入ります。
価格戦略の目的は、
利益を確定することです。
さて、利益を確定するために
実際に価格を10倍にしたサービス、
誕生させたとしましょう。
それを誰に売り込むか、
ということを考えるのが今回の記事の目的です。
ここで考えると良い切り口。
それは、あなたが好きな飲食店です。
美味しそうな和食屋さん。
最初に訪れたのは、ランチ営業のときでした。
定食、1,000円。
本物の出汁、炊きたての国産米。
美味しい刺身。おろしたての生わさび。
あなたは大満足します。
夜にも来てみようと思い、
翌週の夜、仲間と2人で食事に立ち寄ります。
お酒に食事に全てが美味しく、
価格はひとりおよそ5,000円。
何度か足を運ぶ打ちに、
「これは、接待にも使えるかもしれない」
と、得意先を呼んで宴会を催します。
月に1回、あなたはその店で宴会を開き、
その店にとって、あなたは重要顧客のひとりになりました。
ある日、その店の女将から葉書が届きます。
「期間限定で選りすぐりの素材を使い、
コース料理をお出しします。
費用は 50,000 円 です。
大切な方といらっしゃいませんか?」
といった内容が、手書きの文字で
丁寧に書き綴られています。
「わ、いつもの10倍の値段だ。」
さて、そのあとにあなたはどう思うか。
ここです。
きっと、ほとんどの場合、
「でも、あの店なら間違いない。
きっと美味しいものを出すに違いない。」
と、店に予約を入れるのではないかな、
と思うのです。
何が言いたいか。
仮にこの女将が、店の前に立ち、
自ら 50,000 円のコースの案内チラシを
道行く人に配ったところで
「5万!頭おかしいんじゃないか!」
となるはずなんです。
新規顧客や、来店歴の浅い顧客には
この案内は出しても成約率が低いはず。
この葉書は、上得意先のあなたにだからこそ、
出したわけです。
つまり、あなたが考えること。
価格を 10 倍 にした自社サービスを誕生させたら、
それを売る先は「上得意先である必要がある」
ということです。
上位 20 パーセントの上位顧客に向けて、
高額な、高付加価値商品を提供することが、
値上げにおける価格戦略の肝になります。
そのために必要なこと。
それは、まず
各顧客の総売上額の記載された
顧客名簿をつくる、ということです。
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