事業基盤を強化・再編したい
会社の危機管理法
From:海東和貴
自宅の書斎より
10代の最後の頃。
パン屋でバイトをしていました。
朝4時からパンを作り、焼いて、
通勤客が多く行き交う時間帯の前に店に並べる。
キッチンは戦争のような状態になっています。
故に、色々な「事故」が起きます。
私は店長に「ハインリッヒの法則」を説いて、
環境の改善を考えようと訴えました。
ハインリッヒの法則。
1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、
その背景には300の異常が存在する、
という法則です。
1:29:300。
要は、事故が1件起きたということは、
裏に29件の軽微な事故があり、
その裏には300件の「ひやり」とする事象が起きている、と。
例えばこれを、ITの開発業務に置き換えてみましょう。
1件の重大な不具合の裏には、
29件の「作業後のチェック不足」
「作業開始直前の顧客都合により仕様変更」
「事前の検証不足」などの軽微な事故がある。
そしてその裏には、300件の
「顧客との打ち合わせ不足」
「顧客側での作業レビューの不足」
「労働超過による体力的な問題」
などが潜んでいる、ということになります。
このことはピラミッドのような構造で表せます。
最底辺に「ひやり事故」があり、
その上に「軽微な事故」があり、
そしてピラミッドの頂点に
「重大な事故」があるというわけです。
つまり、最底辺の「ひやり」を
抑えることができれば、
その次の「軽微な事故」を抑えることができ、
結果として「重大な事故」も事前に防げる、
ということになります。
この法則を経営者が考えるとき、
実例として知る必要のある事故があります。
例えば、2005年に起きた
JR福知山線の脱線事故にも
この法則が当てはまります。
後の調査でわかったことですが、
停止線で止まれなかったり、
減速するはずのカーブで
スピードを落とせなかった事例が、
脱線事故前には300件以上もあったそうです。
まさに300件の「運転手のひやり」が、
あの事故に繋がったと言えます。
例えば、2004年に起きた
六本木ヒルズの大型自動回転ドアに
男児が挟まれて死亡した事故。
これに関しても、オープンから事故までの
およそ1年の間に、
32件もの回転ドアによる事故があったと言います。
ご自身のビジネスにおいて
「小さなミスや事故」が多発している場合、
経営者は大いなる注意を向ける必要があります。
ここの認識が甘いと、
あとで大きなツケを払うことになります。
冒頭のパン屋、店長には私の
「ハインリッヒの法則」のプレゼンテーションが通じず、
後日、大変なことが起きて免職となりました。
後味の悪いストーリー、ご無礼をいたしました。
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