From：海東和貴
自宅の書斎より

そこには、大きなピラミッド。
ただし、周りに砂はない。
砂漠ではない。
ピラミッドの材質は無機質で、透明。
向こう側が透けてみえている。

とても近代的な建物の中に、
そのピラミッドは浮いている。

人々は、そのピラミッドを取り囲み、
ひとりの男の様子を見守っていた。

我々は、どこにいくのだろう。

＊　＊　＊

多くの場合、会議の質というものは
ファシリテーション（議事進行）の腕に依って
その善し悪しが決まります。

会議の最中、ファシリテーションを担当する議長は
今が意見収集のときなのか、集約のときなのか。
選択肢を広げる作業なのか、
これから採るべき方針を絞って決めるのか。
常に見極めながら会議を進めなければなりません。

会議とは、その議場の中心に
ピラミッドが浮いているようなもの。

議論の最初は裾野を広げる作業。
三角形。ピラミッド。
まずは、裾野を広げることにフォーカスします。
裾野を広げれば広げるほど
そのピラミッドは大きなものになります。
会の選択肢が増えます。

ある程度、選択肢が出尽くしたら、
今度は方向性に焦点を合わせます。

ピラミッドが高くなるにつれ、
徐々に先端が尖っていくように、
あるタイミングで意見を収集する状態から、
集約するステージに持っていきます。

そして、ひとつの方向性を決め、
会議は完了します。
ピラミッドの先端を尖った状態にして、
参加者はその場を後にします。

会議を例にしましたが、
要は、意思決定とはピラミッドだと思うのです。
選択肢を多く持ち、
そこからひとつ、ないし複合的な組み合わせから、
道筋を照らして人々や自分の行動に繋げていくのです。

夫婦。
スモールビジネスの経営者が
よく陥る罠があります。

それは、闇雲に配偶者に
経営に関わる意思決定の相談をしてしまうことです。

最もよくないのは、
ピラミッドのどの位置を形成するために
配偶者に意見を聞いているのか、という場合です。

「何かアイディアある？」
「どう思う？」
は良い。

ピラミッドの裾野を広げる質問だからです。

ただし、
「どうしたら良いと思う？」
はよろしくありません。

それは、ピラミッドの先端を尖らせる作業を
人に委ねてしまっているからです。

これは、夫婦の関係性を軽視しているわけではありません。
そうてはなくて、経営者には
経営の主体としての自分であってほしいのです。

仮に、ピラミッドの先端を尖らせる決定に際して、
配偶者の意見を尊重して経営判断を間違えたとすると、
あなたはそれを、人のせいにできる“要因”を残してしまいます。

経営における全ての責任は、
経営者にあります。
人にせいにすることはあってはなりません。

そういった意味で、
配偶者へのビジネスの相談は慎重に、
とクライアントにはお伝えしています。

でも、夫婦の関係性を
ビジネスにおいて断絶することは、
本意としていません。

逆に、夫婦間に風通しの良さは必要です。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、
矛盾はしていません。

むしろ。

夫婦がうまくいけば、ビジネスもうまくいく。

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