生産性を上げたい
交渉のテーブルから降りる
From:海東和貴
丸の内のオフィスより
今回の記事は、人によっては不快になるかもしれません。
怒りやすい人は、読まないでください。
ある本で、交渉のテーブルをこちらから降りようとすれば、
先方はそれを引き留めてくる、と読んだことがあります。
例えば、私がAというサービスを1,000万円で納品したいとします。
先方は、値下げの交渉をしてきます。
話は聴きますが、ある瞬間「それならこの話はなかったことで」
と、こちらから交渉を切り上げます。
そうすると先方はそれを引き留め、こちらが提示した条件に近い形で
合意形成をできる場合がある、ということです。
私はこのことを、ビジネスでも体験したことがありますが、
もう少し差し迫った状況でも体験したことがあります。
まだ記憶に新しい東日本大震災。
私は仲間と、避難所に向けて救援物資を運ぶボランティアに携わりました。
その日は、かなりの量の救援物資を、ある地区の校庭に運び、
近隣住民に配るというミッションでした。
しかしながら、その日の計画が雨天によって狂いました。
校庭では物資がびしょ濡れになってしまうため、
近くの地域センターのような建物で配ることになりました。
建物に着き、配布準備を進め、
近隣に拡声器を持って「救援物資が来た」旨のアナウンスをして回り、
それぞれが持ち場に着きました。
人が徐々に集まってきました。
するとここで、いざこざが起こったのです。
地域センターというものは、
町会によって使える人の区別があるようなのです。
○町会の人は使えるけれど、□町会の人は使えない。
何が起こったかと言えば、
□町会の人が物資を取りに来たときに、
地域センターを仕切っている人たちが、
「地区が違うだろう!泥棒!」と罵倒しはじめたのです。
確かに、状況はわかります。
我々も、現地の人と連携を取って場所を決めたとは言いつつ、
やはり計画とは違う動きをしていたため、
住民が戸惑うのも理解はできます。
ただ、赤ちゃんを抱っこしてきた女性に対して、
暴言が放たれたときに、スイッチが入りました。
我々の目的は、求める人に物資を渡すこと。
エリアは関係ない。
物資は大量に持ってきたし、
もし足りなければ、また持ってくることができる。
ここでの目的は、物資を求めてここを訪れた人に、
適切な量の物資を持って帰ってもらうこと。
「交渉のテーブルを降りる」と思い出しました。
最初は根気よく『充分に物資はありますから、仲良く分けてください』
とコミュニケーションを取り続けていましたが、
しまいには先方が「あなたたちのやり方が悪い」と言い始めたため、
『わかりました。全て持ち帰ります。お騒がせしました。』
と、交渉のテーブルを降りたのです。
すると、どうなったか。
当然「それは困る。仲良く分けます。」となりました。
結果として、我々の目的である
求める人に、適切な量の物資を渡すこと、
が実現できることとなりました。
変に言い争いになり、
話がこじれそうになったら、
まずは交渉のテーブルから降りてみる。
これを実践すると、結果として両者がハッピーになることは
充分にあり得ます。
今回もお読みいただき、ありがとうございます。
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