From：海東和貴
自宅の書斎より

唐朝第2代皇帝太宗の政治に関する
言行を記録した書で、
『貞観政要（じょうがんせいよう）』
という書物があります。
古来より、帝王学の教科書とされてきました。

それを現代の世相とリンクさせた解説本があります。
2001年発刊、山本七平さん著
『帝王学「貞観政要」の読み方』という本。

その中で、潰れた会社の経営者を囲んでいた
取り巻きについての記載があります。

老舗百貨店・三越のかつての社長であった
岡田茂さんなどは、
「六邪」という属性の人に囲まれていたために
失脚することになったのではないかと作者は推察しています。

「六邪」とは、

1)    高い役職に安住して高給をむさぼる、
やるべきことに専念せず、周囲の情勢をうかがっているもの

2)    主君のやることなすこと、すべて「正しい」といい、
迎合するだけで、後々の問題を考えないもの

3)    口が達者で温和にみえるが、善者をねたみ、
自分が失脚させたいと思う者の短所を誇張して伝え、
組織を内から崩壊させるもの

4)    自分の非は徹底的にごまかし、
言葉巧みに自分の正当性を訴え、
保身のため組織内で揉め事をつくり出すもの

5)    権力を思うがままにして、都合のよい基準をつくり、
自らの派閥をつくって地位や名誉を高めようとするもの

6)    自分の手先と一緒になって主君に噓の報告を行い、
正しいこと/悪いことの区別をなくし、
組織外までの悪評を広めようとするもの

ご自身の周りにこういう人が多い場合、
注意が必要です。
では、どんな人に囲まれていれば良いのか。
それは「六正」という属性の人々です。

1)    兆候がなくとも、万が一の危機を予測し、
それを未然に封じるもの

2)    物事の善し悪しが分かり、
主君のよいところを伸ばし、欠点を救うもの

3)    日々鍛錬を怠らず、優れた人材の登用を勧め、
歴史にならって主君を励ますもの

4)    成功/失敗を的確に予測し、禍を転じ福として、
主君に心配をかけさせないもの

5)    節度を守り、法を尊重し、
自らの高給は辞退し、手柄は人に譲るもの

6)    組織が混乱しても、決して媚びることなく、
主君の面前でその間違いを諫めるもの

ご自身のビジネスを経営するにあたって、
意図的に「六正」の属性を持つ人を入れることをお勧めします。
この価値観を知って以来、
私も多方面でこの考え方を活用しています。
短期的にはもどかしく不快な思いをすることがあっても、
長期的にはポジティブな方向に歯車が進みます。