ゲストと語る仕事の肩書とオファーの関係 | 第61回
ゲストにウェディングフォトグラファー安澤 剛直さんをお迎えして、肩書きのことや仕事の受け方、ホームページの活用まで幅広く語ります。
前半はロシアでの体験について。国それぞれにいろんな特徴があるものです。
今回も、 参宮橋の「こころ からだ ほぐしサロン turusan」のオーナー、鶴岡白眉(つるおかはくび)さんを話し相手に迎えてのポッドキャストです。
(ポッドキャスト本編の13:36~)
海東:改めて海東です。
鶴岡:鶴岡です。
海東:今日は見慣れない画角だと思いますが…
鶴岡:初の3人!
海東:そうね、前半、鶴さんの様子がおかしかった原因です(笑) 今日はアンズフォト代表取締役の安澤剛直さんにお越しいただきました。
パチパチパチパチパチ(拍手!)
海東:昔、僕がこの仕事を始めたときってITのお客さんが多かったんですよ。
鶴岡:ふーん。
海東:逆に士業は僕やりませんって言ってたんですね。 理由は、例えば弁護士さんに「仕事の効率化のためにgmailを使ってください」と言った時に、うちは業界の機密保持的にダメなんです、と。業界慣習的に仕事のパフォーマンスを上げるのが難しい業種だと思ってたんで、僕はやりませんって言ってたんですけど、あとから、「なんで弁護士できないんですか」って弁護士さんから怒られたことがあって、それで、試しにやってみたら結構うまくいったんですよ。
鶴岡:うんうん。
海東:そこから、「あ、士業の人にしよう」って思ってシフトしたんです。
鶴岡:うんうん、今ね、士業ですもんね。
海東:そうそう、今士業以外の人も来てくれるし。 自分がどこにポジションを置くかっていう舵取りの選択って、みんな大きな決断をしてるんですよね。 安澤さんも大きな決断をされて、ポジションをバッと区切ったじゃないですか。 その時の話をお伺いしようかなと思ってるんです。
安澤:ああ、はい。
海東:名刺には「トップウェディングフォトグラファー」って書いてあるんですよね。
安澤:そうですね、「トップウェディングフォトグラファー」っていうのはブランド名で、肩書きとしては「ウェディングフォトグラファー」です。
海東:競合はウェディングに関わる仕事で… あ!補足ページに渋谷のスクランブル交差点の写真を載せられたら載せたいんですけど…
鶴岡:おおー!
海東:あの写真良いですね!
鶴岡:あれ素敵!
最初の肩書き
海東:補足ページに載せておくので見ていただきたんですけど…。 安澤さん、最初はウェディングじゃなく「フォトグラファー」でやってたんですか?
安澤:そうですね、フォトグラファーでやってたんですけど、ウェディングの業界のことを変えていきたいってずっと思っていて、ウェディングに関しては下請けは絶対にやらないって決めてたんですよ。
鶴岡:ふーん。
安澤:下請けやっちゃうと、上から仕事もらってるっていう形になってしまって、僕がやりたいことやれないじゃないですか。だからウェディングに関しては下請けは一切やらなくて、広告で仕事を作ってウェディングはやりたいようにやってて…。その中で、ポジションを築いていく上で「ウェディングフォトグラファー」っていう肩書きに変えようかなと悩んでた時期があったんですけど、実際は売り上げのほとんどは広告なわけですよ。
海東:うんうん。
安澤:だけどこれからウェディングに入って地位を創り上げていきたいんですよ。 でも「ウェディングフォトグラファー」ってしたらウェディング以外の仕事が来なくなっちゃうんじゃないかなぁとか、すごい悩んでて…。でも実際に「ウェディングフォトグラファー」って肩書き変えて名刺を作り直したら、安澤さんってウェディング以外撮れないんですか?って話になっていって…
海東:ああ、逆にね!
安澤:そうそう、で意外に自分が心配していたことがもう逆に広がるっていうのがありましたね。
海東:なるほどね。ウェディングの下請けしないって意味は会場と取引しないってことですか?
安澤:会場とも今提携はしてるんですけど、僕がイメージしてる提携っていうのは、今までのものは会場がベースでこういうものを作ってくださいね、とかなるべくクレームが起きないようにそつなくやってくださいね、みたいなだったんですけど、僕が考えているのって一組一組オーダーが違えば撮影の仕方もボリュームも変わってくるし、例えば同じ会場のお客さんでも料理が気に入りました、チャペルが気に入ってここにしました、スタッフで決めました、とか全部ストーリーが変わるじゃないですか。ストーリーが変わったら撮影のボリュームの比率って変わりますよね。
鶴岡:あーなるほどね。
安澤:料理気に入ってるのに料理の写真がないとか、そういう風に一組一組ちょっとしたところでボリュームが変わってくると、撮るボリュームも変わってくるしアルバムのレイアウトも変わってこなきゃいけないしっていうんで、一組一組オリジナルっていうそれが当たり前じゃないですか。って僕は考えててそれをやりたいっていう、その当たり前のことすらウェディングの業界では当たり前じゃないんですよ。
海東:ふーん。
鶴岡: だからそれをやっていこうっていうんで、今では自分のウェディングの業界の中での知名度とか実績だとかを買われて提携を始めた会場があるんですけれども、そこに関しては僕が「こういうことをやりたいんです、こういう風にしたいんです」っていうのを全部聞き入れてもらえるような関係性の立ち位置を作って入っていってる状態。
なんでもできるは危険!
海東: なるほどね。例えば「なんでもできますよ!」って言ってる人がいるじゃないですか。どんな業種でも。
鶴岡: うん。
海東: その人には此処にいったらいいんじゃないですか、って思うけど、いやそこにいくのは他の仕事が来なくなるって絶対言う。
鶴岡: あーみんなそこは通る道な気がしますよね。特化させたら他のは来ないんじゃないかっていうのはね。
海東: そう。
鶴岡: でも案外ね、安澤さんみたいに特化することで逆に広がるっていう。
海東: そう。何か自分の中で乗り越えたものはあるんですか?決断の手前に。
安澤:何か…結構前だからちょっと覚えてないんだけど、まあでも絞り込むってことに対して、悩んでたことに決断をしたってことは腹くくってるじゃないですか。そういう覚悟っていうのは腹に落ちたっていうか。
鶴岡:どこでそんな腹落ちさせたんですか?
安澤:よくわからない。笑
海東:あはは!
安澤:どうしたんだろうね…
鶴岡:もうやるぞ!みたいな?
安澤:そうだね。やるぞっていうのと、あとは色んなことがあったんですけど、そのブランディングを作っていきたいっていうことで、ウェディングのサイトをリニューアルしたりとか、ウェディングに対してもっと増やしていきたいなっていうのをどうしたらいいんだろうって考えながら色んなことをそこで考えましたね。
鶴岡:意欲的なことはそこで?
安澤:そうそう。パンフレットを変えたりとかサイトも変えたし。全部をその時に刷新したって感じですかね。
海東:結構考える時間長かったですかね?そこに定めるところからスタートして。
安澤:他の人に比べたら長くないのかもしれないけれど、意外に僕の中では色々悩んでた時期かなとは思いますね。
自己探求と収入
海東:なるほど。僕の先生の言葉で「自己探求の深さと収入が比例する」っていうのがあって、漠然と自分は○○士ですっていうので終わってる人と、自分は○○士ですけどそれを使ってこういうこともやって、そういうこともやって、こういう強みがあってとか色々考えている人の方が収入の比率が上がるって意味だと僕は捉えてるんですけど、その一端ですよね、きっと。
安澤:ふむふむ。
海東:お弟子さんいるじゃないですか。当然仕事としてのスキルも上げてほしいし、当然もっと食えるようになってほしいっていうのもあると思うんですけど、今フォトグラファーっていう業種の中で弟子に単価や付加価値、自分のポジションをあげていくっていう時に、意識したりアドバイスすることってありますか?お弟子さんに。
安澤:段階にもよるんですけど、結構若いうちに商品撮影は興味ないんで人物だけしかやりません、とか二十代でそういう子がいたりするんですよ。やったことがないものの判断ってじゃあ誰がしてるのって言ったら、自分じゃないですか。もしかしたらそこにもっと広がりがあるかもしれないから、若いうちはそんなに仕事選ぶ必要ないんじゃないかなって思う。
鶴岡:うんうん。食わず嫌いにならないで、どんどん色んなものをやってみた方がいいっていう。
安澤:例えば僕が何人かカメラマンがいる中でこういう仕事がきました、物撮りだけどこれあいつに頼んだら面白いんじゃないかなって、こっちは何人かいる中で選択しているわけですよ。自分の閃きの中でも、この仕事は何かわからないけどあいつに頼んでみたいなって思ってるわけですよ。それで連絡して、「いや、ちょっと興味ないんで」ってあっさり振ると、まあそうだけど、でもこの仕事はゆくゆくのことを考えた時にやった方がいいって俺は思うけどね。ま、やらないっていった時点ですぐ次の人にいっちゃいますけど。
鶴岡:勿体ない。
安澤:そう、勿体ないね。でもやりたくないっていう人にお願いしてもしょうがないから。
鶴岡:長年やってる人が判断するからには何かあるんだって思って受け入れてほしいですけどね。
安澤:それは僕だけじゃなくても、何かしらその人生の中で「こういうことできないの?」とか色んな時に専門外な相談がきたりするじゃないですか。その時にどういう対処をするかで広がりが変わってくると思う。
鶴岡:わかる!それ職種関係なく思ったりする。
安澤:あとね、「これこの予算でこんな仕事できませんか?」って相談した時に「あ、できません」って言われちゃって、こっちも無理をお願いしてるからできないのはわかるんだけども、でも「このくらいのボリュームまでならできるよ」とか代替案もなく、「できません」って言われたら。
鶴岡:もうスパンっと。笑
安澤:うん。「わかりました、じゃあすみません」ってお前のとこにはもう絶対電話しねーぞ、みたいな。
鶴岡:あはは!
海東:確かに。今重要なキーワードが色々出た中で、ステージっていうのがあるかなって思ったんだけども、僕とか世にある自己啓発系でポジションを区切りましょうとか、専門分野を高めましょうとか勧めてるじゃないですか。でもステージによるってことだよね。
鶴岡:うん。
海東:例えば僕が二十五歳で弁護士資格をとって、最初から俺はこれしかやらない、っていうのはあんまりうまくいかないんじゃないかっていう話ですよね。まずはやれるものをやってみて、耐えられるものはまず受けてみて、それを長年スキルとかキャリアを重ねた上で、やっぱりここが喜ばれるなってところを見つけてそこにいくんで、自分の好みじゃないですよね。
鶴岡:そうそう!案外自分で見てる自分って何か違ったりしますよね。傍からみてる人の方が客観的に見てこの人こうって。
海東:それいいね!
鶴岡:よかった!
選択肢を広げるために
海東:例えば僕が今まで狭いことをやってたなと広くして、もう一回それを見ようって思った時に誰かに見てもらうことが大事だってわかってるわけじゃないですか。でも誰に聞けばいいかわかんないってなったら誰に聞くんでしょうね。
鶴岡:やっぱり自分よりも専門的なこの人凄いなって思う人に。
海東:同業種の先行ってる人?
鶴岡:うん。でもこうやって私は業種違うけど、安澤さんの話聞いてなるほどなって思うし、何かを突き詰めてて自分より凄いなって思う人に聞くのがいいんじゃないですか?視点が変わるし。
海東:うんうん。そうですよね。子どもに「なんで数学勉強するんだ?サインコサインタンジェントなんて将来使わない」って言われたら「いや使わないよ」と。でも中には数学者になる人もいるし、選択肢を広げておかなきゃいけないじゃないですか。サインコサインタンジェントって何だすものだっけ?
鶴岡:え?なんかこういう…
海東:それ多分電気の何か!笑
鶴岡:あれ?でもこうやって話すネタとしてしか使わないかも。
海東:とくにサインコサインタンジェントってこういう時に使われるネタだよね!あ、そうそう。じゃあ自分はまずどのステージにいて、ポジションにそもそも区切っているのか、区切ってるとしたらそれを好みでやっちゃっていないか、ちゃんとお客さんから求められたところに特化してるのかみたいなことを一回冷静に自己探求するといいですね。
鶴岡:良さそう。
海東:うん。なんかすごくいい時間ですね。因みに安澤さん、最近新しく始められた企業の桜の概要を軽く教えてもらえますか?
安澤:はい。元々企業の撮影はやってたんですけども、僕が独立したのは少し遅くて普通のカメラマンみたいに編集プロダクションとか広告制作会社とかから仕事が簡単にとれなかったんですよ。なのでアンザワフォトグラフィーっていう屋号と代表をつけて、色んな交流会に出て企業さんの決済持ってる人と直で付き合おうとして。当時は企業とカメラマンが直でやるっていうのが殆どなかったので、そこを僕は食い込んでいって、ありがたいことにホッピーさんとか直で仕事をくれるようになって、もう十年くらいホッピーさんと仕事をしていると、今はやっぱり社長さんの考え方とか企業の風土を大体把握しててその上で撮影にいくじゃないですか。
鶴岡:うん。
安澤:だから企業さんとしても細かい打合せとかなくて済むし、毎年ここの安澤に頼んでおけばっていうルーティンの仕事もあるし、それをブランド化していこうって思って企業の桜っていうのにした。要は僕がやっていたものを自分も撮影は行きますけども、うちのフォトグラファーの子たちが一企業に専属のフォトグラファーとして企業と長いお付き合いでいきましょうっていうブランドにしたんですね。それが企業の桜。
海東:イメージとして、皇室写真家みたいな方がいて、皇室にベタ付きででも皇室ってブランドじゃないですか。変な写真出せないから全部わかった上で撮って、ずっとついてるから皇族は安心して任せられるみたいな…っていうことの企業版?
安澤:まあそうですね。皇族の話が出てくるとは。笑
海東:あはは!あ、逆に企業でもどのくらいの売り上げ規模とかどのくらいの人数が適しているとかありますか?
安澤:企業の規模感でいったら、大きい企業さんなんかはがっつり大きい広告だと制作代理店を通すじゃないですか。電通とか。ただ例えば大きいところでもインスタとか数を出すとかね、そういうのだったらうちみたいな小回り効くところがいいでしょうし。規模でいったら大きいところから中小企業のところまで幅広く使えると思うんですよ。
鶴岡:うんうん。
安澤:中小なんかは勢いがあって、伸びてるぞっていう会社さんなんかは十年経った時に意外に写真がなかったりとか。あとは色んな企業さんを取材してきた中で僕が思ったのは、小さい会社でもこんな凄い技術持ってるの、とかこんな面白い技術もってるのっていう会社さんって世の中にいっぱいあるんですよ。だけどウェブサイトみると写真がフリーの素材とかで全然差別化ができてないじゃんとか。
鶴岡:うーん。
安澤:なんでこんな個性的な会社なのにウェブサイトの写真は買ったやつだからって、全然オリジナリティが出てなくて勿体ない!って思う、そういうところの企業さんに細くでもいいから入っていって、写真の見せ方のブランディングをしたりとか、もっとこういう写真をとって発信していきましょうよとか、そういうところでブログのお手伝いとか、ウェブサイトとか。そういうところで写真を使ってもらう。気軽に数を使ってほしいっていう形で、なるべく安価で使えるようなプランにしてるんです。
海東:うちなんかは頼めるステージじゃないっていう会社程いいかもしれないですね。うちもホームページ作るじゃないですか。やっぱり困るのって写真がないんですよ。びっくりするほど自分の会社の写真がなくて。
鶴岡:そっか、会社の写真がないのか。
安澤:使える写真がないんですよね。
海東:そうそう。日頃から定期的にインスタとかにあげておけば発信もできるし、ホームページ作る時も使えるし、安澤さんが企画構成とか全部やるんですけども、撮影までってなるとだいぶ躊躇っちゃうのでそこをうまく安澤さんの教え子を送り込んで「こういうのを撮ってこいよ」って指示することで、プラン料がだいぶ抑えてるんですもんね。だから、頼んだらいいですよ。
鶴岡:おお。
海東:お客さんありきだからね。ここの場合はね。
鶴岡:頑張る!まずスタートラインに…。
海東:企業の桜のホームページありましたもんね?
安澤:はい、あります。やっとできました。
海東:やっとなんですか?笑
安澤:僕が凄いわがままを言ってて、最初ブログとかいらないって言ってたんだけども、山野さんにね、色々お願いしようと思ったらブログはあった方がいいよって言われて、じゃあやっぱりブログつけてくださいって言ったら向こうが「えーっじゃあ全部ワードプレスに変えます」って言って。
鶴岡:なんか違うんですってね!ページ増やすとかなにかで。
安澤:それを全部無料でやってもらっちゃった。はは!
鶴岡:言っていいんですかそれ!
海東:でも大本のランディングとかは払ってるんですもんね?
安澤:えーとね…
鶴岡:ちょっとそれ残っちゃうから!笑
海東:山野さんっていうのはうちのプロフェッショナルのサイトを見てもらえると。
鶴岡:私のサイトもみてもらえると!
安澤:作ってもらってるのは山野さんじゃなくて、うちがウェブサイトの会社にちょっとワードプレスにしてっていってる。
海東:日頃の運営を山野さんに任せてるんですよね?
安澤:そうそう。うちの広告とか全部やってくれてる人間のことです。
鶴岡:みんなお世話に。
海東:じゃあそんな感じで読者さんのニーズには答えましたか?
鶴岡:はい、だと思います!
海東:今日は例外的にご質問じゃなくて、ゲストさん呼んだので、次回は質問に戻るんですけども、次々回はもしかしたらまたどなたかお呼びするかもしれないです。
鶴岡:こういうのも楽しいですね。
海東:ね。やっぱり色んな見方、視点が得られますね。でも継続してやっぱり質問は欲しいので、いつものように。
鶴岡:ザプロフェッショナル Podcast では質問を受け付けています。 ザプロフェッショナルのメールマガジンにご返信いただく形で質問を送ってください。 よろしくお願いいたします。
海東・鶴岡:今日もありがとうございます。
安澤:ありがとうございました!
撮影:株式会社アンズトフォト 安澤剛直氏
株式会社アンズフォト
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企業の櫻
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